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令和7年度 座談会
ヤングケアラーのみなさんに伝えたいメッセージ
同じような状況にあるヤングケアラーの方にみなさんが伝えたいことについて、お話を伺っていきたいと思います。
私が伝えたいのは、「あなたの人生はあなたのもの」ということです。
私も最初はやりたいことがたくさんありましたが、介護離職[15]をして社会と接点を持ちづらい日々が続きました。周りの同世代がみんな働いている中で、自分もなんとかしなければという思いもありましたが、母の命の危機が何度も訪れる中で自由な未来を
友達からは「家を出たらいい」「施設に入れたら」と簡単に言われることもありましたが、母の病状から、医療機関以外で
ケアをしている間は、どうしても誰かのことを優先する生活になります。それは必ずしも悪いことではありません。でも、ケアが終わった後、自分が本当は何をしたいのか、何を楽しみたいのか、誰と一緒にいるとしんどくないのか、そういうことに向き合わなければならない時がやってきます。
若い時期にずっと自分以外の誰かを優先してきた人ほど、「自分の人生って何だろう」と迷ってしまうかもしれません。だからこそ、少しずつでいいので、自分の心や欲求に向き合ってみてほしいです。自分の好きなこと、自分が安心できる時間、笑顔になれる瞬間、それらは全部、あなたが自由に決めていいものです。
周りのために生きるのではなく、自分自身の人生を一番に大切にしてもいいんだっていうことも、忘れないでほしいです。
[15]介護を理由として勤めている仕事をやめること

私もそれを強く思っています。実際に「あなたが元気に過ごすことが家族の幸せにつながる」と言うことはあります。でも、私の心の中では、楽しく過ごす裏側に母の辛さがあると、心から「幸せだ」と言い切れない部分もあります。自分の幸せが、母を犠牲にして成り立っているように感じてしまうからです。
最近、ヤングケアラーを中心に支援することの難しさを感じています。まず一番に解決すべきことはヤングケアラー本人のケアや支援ですが、その次に家族全体の幸せを考えると、そのバランスをとることの難しさを感じます。
そして私が伝えたいことは、ヤングケアラー、支援する方、どちらに対してものメッセージですが、「話したい時に、話したい人に、話したいことだけ話してもらえたらいい」ということです。
私たちにとっては「話したい時に、話したい人に、話したいことだけ話せる」という環境が大切です。ヤングケアラーは、すでにたくさん頑張っている中で、さらに努力を強いられるのは辛いことです。だから無理に話す必要はありません。
支援する大人は、話したくなったときに話せる場所や人であることを意識して、準備を整えて待つことが大事です。話すかどうか、何を話すかはこども自身が選べるように。
ヤングケアラーには、自分のタイミングで、自分の言葉で話せる安心感を。支援者には、その安心感を待つことの大切さを覚えておいてほしいです。これが、支援の第一歩になると思います。

僕が伝えたいのは、まず「特別な存在じゃない」ということです。決してかわいそうな人ではなく、実は同じような経験をしている子は周りにたくさんいるんだ、ということを知ってほしいです。
それから「1人じゃない」ということも。昔は「ヤングケアラー」という言葉もなく、とにかく家族だけでどうにかしなきゃと思っていました。でも今は、ヤングケアラーを支えようとしてくれる行政や仕組みもあります。だから無理せず頼ってほしいと思います。
そして「少し休んでもいい」ということ。休むことは決して悪いことではなく、とても大事なことです。自分の時間を持つことも必要ですし、もし何かあっても周りの人が助けてくれるので、安心してほしい。だからどうか、1人で抱え込まないでください。

私が伝えたいのは、「あなたはどうしたい?」という言葉です。
ケアをしていると、主語が「私」ではなくなり、常に家族のことを優先してしまうようになります。実際、私も「あなたはどうしたいの?」と聞かれた経験はほとんどありませんでした。
大学4年生の就職活動のとき、友達に「おかりなはどうしたいの?」と聞かれた瞬間、初めて自分を主語に考える感覚に気付きました。この言葉は、私にとってとても大切なものになりました。
だからこそ、周りの大人や関わる人には、ぜひヤングケアラーやその家族に「あなたはどうしたい?」と問いかけてほしいです。
本人だけでなく、家族一人ひとりに対してもそうです。
「あなたはどうしたい?」この言葉を、これからも伝え続けていきたいと思います。

僕が伝えたいのは、「最強・友達・家族」という言葉です。この3つは僕にとって、とても大切な言葉。辛かった時期は毎日しんどいことばかりでした。それでも「俺は強いんだ」と自分に言い聞かせて
支えてくれる友達がたくさんいて、自分は本当に恵まれていました。姉も一緒に頑張ってくれたし、家族の存在も大きかったです。でもやっぱり、一番強かったのは「親を支えながら毎日を生き抜いた自分」だと思っています。「今の自分が一番強い」って思いながら過ごしていました。
笑っていれば周りも笑ってくれるし、実はみんな苦しいことを抱えていて、一緒に支え合えた。だからこそ僕は「最強」だったし、今の自分があるのは「友達」と「家族」のおかげです。今ヤングケアラーのみなさんにもこの3つの言葉を大切に思ってほしいと思います。

今振り返ると、当時の自分がこのことを考えられていたら、もっと楽に過ごせたかもしれないと思うポイントが3つあります。
1つ目は「家族との距離感」です。絶対に自分がやらなくちゃいけなかったのか、家族の中に、自分以外でケアに携われる人はいなかったのか、家族との距離感や役割の見直しを考えられていたら、少し肩の力を抜けたかもしれません。
2つ目は「第三者の存在」です。家族だけでは役割の整理や話し合いは難しいことです。だからこそ、専門知識のある人や経験者が入って、家族を外から見て、整理してくれる仕組みがあると助かります。
そして3つ目は「事例を知ること」です。自分がヤングケアラーだと気付けない人も多いですが、先輩の体験談や


