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令和(れいわ)7年度(ねんど) 座談会(ざだんかい)

目次(もくじ)





ヤングケアラーのみなさんに(つた)えたいメッセージ


田中(たなか)

(おな)じような状況(じょうきょう)にあるヤングケアラーの(かた)にみなさんが(つた)えたいことについて、お(はなし)(うかが)っていきたいと(おも)います。



高岡(たかおか)

(わたし)(つた)えたいのは、「あなたの人生(じんせい)はあなたのもの」ということです。
(わたし)最初(さいしょ)はやりたいことがたくさんありましたが、介護離職(かいごりしょく)[15]をして社会(しゃかい)接点(せってん)()ちづらい日々(ひび)(つづ)きました。(まわ)りの同世代(どうせだい)がみんな(はたら)いている(なか)で、自分(じぶん)もなんとかしなければという(おも)いもありましたが、(はは)(いのち)危機(きき)何度(なんど)(おとず)れる(なか)自由(じゆう)未来(みらい)(おも)(えが)気力(きりょく)徐々(じょじょ)(うしな)われていきました。いろいろ(かんが)えても「病気(びょうき)(はは)()()してまで自分(じぶん)のやりたいことがあるのか」という(おも)いが先立(さきだ)ち、自己実現(じこじつげん)のための気力(きりょく)体力(たいりょく)()てませんでした。


友達(ともだち)からは「(いえ)()たらいい」「施設(しせつ)()れたら」と簡単(かんたん)()われることもありましたが、(はは)病状(びょうじょう)から、医療機関以外(いりょうきかんいがい)()()れてもらえる場所(ばしょ)はなく、現実的(げんじつてき)には不可能(ふかのう)でした。ケアの()から()()せない状況(じょうきょう)経験(けいけん)して、本当(ほんとう)意味(いみ)自分(じぶん)人生(じんせい)(えら)ぶことの(むずか)しさを痛感(つうかん)しました。


ケアをしている(あいだ)は、どうしても(だれ)かのことを優先(ゆうせん)する生活(せいかつ)になります。それは(かなら)ずしも(わる)いことではありません。でも、ケアが()わった(あと)自分(じぶん)本当(ほんとう)(なに)をしたいのか、(なに)(たの)しみたいのか、(だれ)一緒(いっしょ)にいるとしんどくないのか、そういうことに()()わなければならない(とき)がやってきます。


(わか)時期(じき)にずっと自分以外(じぶんいがい)(だれ)かを優先(ゆうせん)してきた(ひと)ほど、「自分(じぶん)人生(じんせい)って(なん)だろう」と(まよ)ってしまうかもしれません。だからこそ、(すこ)しずつでいいので、自分(じぶん)(こころ)欲求(よっきゅう)()()ってみてほしいです。自分(じぶん)()きなこと、自分(じぶん)安心(あんしん)できる時間(じかん)笑顔(えがお)になれる瞬間(しゅんかん)、それらは全部(ぜんぶ)、あなたが自由(じゆう)()めていいものです。
(まわ)りのために()きるのではなく、自分自身(じぶんじしん)人生(じんせい)一番(いちばん)大切(たいせつ)にしてもいいんだっていうことも、(わす)れないでほしいです。


[15]介護(かいご)理由(りゆう)として(つと)めている仕事(しごと)をやめること


高岡


ゆい

(わたし)もそれを(つよ)(おも)っています。実際(じっさい)に「あなたが元気(げんき)()ごすことが家族(かぞく)(しあわ)せにつながる」と()うことはあります。でも、(わたし)(こころ)(なか)では、(たの)しく()ごす裏側(うらがわ)(はは)(つら)さがあると、(こころ)から「(しあわ)せだ」と()()れない部分(ぶぶん)もあります。自分(じぶん)(しあわ)せが、(はは)犠牲(ぎせい)にして()()っているように(かん)じてしまうからです。


最近(さいきん)、ヤングケアラーを中心(ちゅうしん)支援(しえん)することの(むずか)しさを(かん)じています。まず一番(いちばん)解決(かいけつ)すべきことはヤングケアラー本人(ほんにん)のケアや支援(しえん)ですが、その(つぎ)家族(かぞく)全体(ぜんたい)(しあわ)せを(かんが)えると、そのバランスをとることの(むずか)しさを(かん)じます。


そして(わたし)(つた)えたいことは、ヤングケアラー、支援(しえん)する(かた)、どちらに(たい)してものメッセージですが、「(はな)したい(とき)に、(はな)したい(ひと)に、(はな)したいことだけ(はな)してもらえたらいい」ということです。
(わたし)たちにとっては「(はな)したい(とき)に、(はな)したい(ひと)に、(はな)したいことだけ(はな)せる」という環境(かんきょう)大切(たいせつ)です。ヤングケアラーは、すでにたくさん頑張(がんば)っている(なか)で、さらに努力(どりょく)()いられるのは(つら)いことです。だから無理(むり)(はな)必要(ひつよう)はありません。


支援(しえん)する大人(おとな)は、(はな)したくなったときに(はな)せる場所(ばしょ)(ひと)であることを意識(いしき)して、準備(じゅんび)(ととの)えて()つことが大事(だいじ)です。(はな)すかどうか、(なに)(はな)すかはこども自身(じしん)(えら)べるように。
ヤングケアラーには、自分(じぶん)のタイミングで、自分(じぶん)言葉(ことば)(はな)せる安心感(あんしんかん)を。支援者(しえんしゃ)には、その安心感(あんしんかん)()つことの大切(たいせつ)さを(おぼ)えておいてほしいです。これが、支援(しえん)第一歩(だいいっぽ)になると(おも)います。


ゆい


ナミレオ

(ぼく)(つた)えたいのは、まず特別(とくべつ)存在(そんざい)じゃない」ということです。(けっ)してかわいそうな(ひと)ではなく、(じつ)(おな)じような経験(けいけん)をしている()(まわ)りにたくさんいるんだ、ということを()ってほしいです。


それから1人(ひとり)じゃない」ということも。(むかし)は「ヤングケアラー」という言葉(ことば)もなく、とにかく家族(かぞく)だけでどうにかしなきゃと(おも)っていました。でも(いま)は、ヤングケアラーを(ささ)えようとしてくれる行政(ぎょうせい)仕組(しく)みもあります。だから無理(むり)せず(たよ)ってほしいと(おも)います。


そして(すこ)(やす)んでもいい」ということ。(やす)むことは(けっ)して(わる)いことではなく、とても大事(だいじ)なことです。自分(じぶん)時間(じかん)()つことも必要(ひつよう)ですし、もし(なに)かあっても(まわ)りの(ひと)(たす)けてくれるので、安心(あんしん)してほしい。だからどうか、1人(ひとり)(かか)()まないでください。


ナミレオ


おかりな

(わたし)(つた)えたいのは、「あなたはどうしたい?」という言葉(ことば)です。
ケアをしていると、主語(しゅご)が「(わたし)」ではなくなり、(つね)家族(かぞく)のことを優先(ゆうせん)してしまうようになります。実際(じっさい)(わたし)も「あなたはどうしたいの?」と()かれた経験(けいけん)はほとんどありませんでした。


大学(だいがく)4年生(ねんせい)就職活動(しゅうしょくかつどう)のとき、友達(ともだち)に「おかりなはどうしたいの?」と()かれた瞬間(しゅんかん)(はじ)めて自分(じぶん)主語(しゅご)(かんが)える感覚(かんかく)気付(きづ)きました。この言葉(ことば)は、(わたし)にとってとても大切(たいせつ)なものになりました。
だからこそ、(まわ)りの大人(おとな)(かか)わる(ひと)には、ぜひヤングケアラーやその家族(かぞく)に「あなたはどうしたい?」と()いかけてほしいです。


本人(ほんにん)だけでなく、家族(かぞく)一人(ひとり)ひとりに(たい)してもそうです。
(たと)えば、協力的(きょうりょくてき)ではなかった(ちち)にも、きっと(ちち)なりの「こうしたい」という(おも)いがあったはずです。
「あなたはどうしたい?」この言葉(ことば)を、これからも(つた)(つづ)けていきたいと(おも)います。


ナミレオ


むっち

(ぼく)(つた)えたいのは、最強(さいきょう)友達(ともだち)家族(かぞく)という言葉(ことば)です。この3つは(ぼく)にとって、とても大切(たいせつ)言葉(ことば)(つら)かった時期(じき)毎日(まいにち)しんどいことばかりでした。それでも(おれ)(つよ)いんだ」と自分(じぶん)()()かせて()()ってきたから、(いま)ここにいる自分(じぶん)があります。


(ささ)えてくれる友達(ともだち)がたくさんいて、自分(じぶん)本当(ほんとう)(めぐ)まれていました。(あね)一緒(いっしょ)頑張(がんば)ってくれたし、家族(かぞく)存在(そんざい)(おお)きかったです。でもやっぱり、一番(いちばん)(つよ)かったのは「(おや)(ささ)えながら毎日(まいにち)()()いた自分(じぶん)」だと(おも)っています。「(いま)自分(じぶん)一番(いちばん)(つよ)い」って(おも)いながら()ごしていました。


(わら)っていれば(まわ)りも(わら)ってくれるし、(じつ)はみんな(くる)しいことを(かか)えていて、一緒(いっしょ)(ささ)()えた。だからこそ(ぼく)は「最強(さいきょう)」だったし、(いま)自分(じぶん)があるのは「友達(ともだち)」と「家族(かぞく)」のおかげです。(いま)ヤングケアラーのみなさんにもこの3つの言葉(ことば)大切(たいせつ)(おも)ってほしいと(おも)います。


むっち


ぽむぽむ

(いま)()(かえ)ると、当時(とうじ)自分(じぶん)がこのことを(かんが)えられていたら、もっと(らく)()ごせたかもしれないと(おも)うポイントが3つあります。
1つ()家族(かぞく)との距離感(きょりかん)です。絶対(ぜったい)自分(じぶん)がやらなくちゃいけなかったのか、家族(かぞく)(なか)に、自分以外(じぶんいがい)でケアに(たずさ)われる(ひと)はいなかったのか、家族(かぞく)との距離感(きょりかん)役割(やくわり)見直(みなお)しを(かんが)えられていたら、(すこ)(かた)(ちから)()けたかもしれません。


2つ()第三者(だいさんしゃ)存在(そんざい)です。家族(かぞく)だけでは役割(やくわり)整理(せいり)(はな)()いは(むずか)しいことです。だからこそ、専門知識(せんもんちしき)のある(ひと)経験者(けいけんしゃ)(はい)って、家族(かぞく)(そと)から()て、整理(せいり)してくれる仕組(しく)みがあると(たす)かります。


そして3つ()事例(じれい)()ること」です。自分(じぶん)がヤングケアラーだと気付(きづ)けない(ひと)(おお)いですが、先輩(せんぱい)体験談(たいけんだん)(ほか)家族(かぞく)(はなし)()ることで、「自分(じぶん)もこうしていいんだ」とか「こんな(みち)もあるんだ」と(おも)え、将来(しょうらい)()()うヒントになります。


ぽむぽむ







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